茜空〜の続編になります。
でも4年くらいあと。ツナ達高校生!

あの設定(?)で行けない人は見ない方がいいかもね〜。














本日はお日柄も良い絶好の桜日和である。
そんな今日は、ツナ達の在学する並盛高校の卒業式だったりする。

いつもは喧々騒々な彼らも、今年でついに卒業。
昨年、最強の風紀委員長様、最凶の生徒会長様がご卒業なされ、これでトラブルメーカー沢田一派が卒業すればこの高校も平和になると、教師陣は胸を撫で下ろしていた。






そうこうしているうちに校庭に生徒達が増えて来た。どうやら式が終了したようである。



「俺たちもついに卒業なのなー。」
「ほんとだね、早いもんだなぁ。」
「あっというまでしたっスね!」


いつもの三人組が、校庭で卒業証書を片手にだべっている。


「山本、野球部の皆に挨拶とかしてきたの?」
「あぁ!色紙もらっちまったー。」
「へぇ。いいなぁ。そーゆーの見ると、俺も何かやればよかったなって思うよ。」
「十代目、色紙が欲しいなら俺、買います、書きます!」
「いや獄寺君、それ何か違う…。」


いつものやり取りの中、山本はついと時計を見る。
そして。


「いっけねー。俺さっき校舎の裏に行った時に、カバンと色紙置いて来ちまった!

「あはは、やっちゃったね!」
「このバカめ!」
「しかも、部活の先生にだけ挨拶忘れてたとか。」
「つくづくバカだな!」
「悪いツナ。俺先生が帰っちまう前に挨拶とお礼言いたいから、カバンと色紙お願いできないか?」
「テメェ、十代目をパシるなんざぁ…!」
「いいよ、行ってくる!」
「じゃぁ俺もお供します!」
「獄寺は担任にまだ挨拶してなかったよな。あっちに居るぜ!あ、俺と同じ方角だ。一緒に行こうな〜。」
「はなせ野球馬鹿!」


そしてツナは校舎裏へ向けて走って行く。
それを確認して山本はつかんでいた獄寺の腕をはなしてやる。






「下手な小芝居ですねぇ。」




背後から声がかかる。彼らが振り返ると、そこに立っていたのは骸。



「あれ、骸じゃねーか!イタリアの大学に行ったんじゃないのか?」
「えぇ、そうですよ。これから君らが行く予定の大学です。」
「なんだ、十代目の卒業式を見に来たのか?」
「あんなのどうでもいいですよ。僕は、かわいい髑髏の晴れ舞台を見に来ただけです。」


「おい骸。さっき"下手な小芝居って"言ってたが、ありゃぁ何の事だ?」
「おや獄寺隼人。あなた気がついていなかったんですか?」
「あァ?」
「偶然にしては出来すぎているでしょ。それに、カバンを取りに行くだけならばあなたが居ても別に良かったはず。それに、あなたの事です、どうせ綱吉君にべったりだったのでしょう?なのに、あなただけ担任への挨拶をしてない訳が無いじゃないですか。」
「そういや…!山本、なに企んでやがる!」
「別にいいだろー?」
「十代目に何かあったら…!」
「おまえが心配するような事はないと思うのな〜。」
「事実とは常に予想を上回るもんだろーが!!」
「でもさ、仮に何かあったとして。おまえよりもツナのが強いと思うぜ?」
「あたりまえだ!」
「おぉ、開き直った…って骸、お前どこに行くんだ?」
「どこって、校舎裏ですよ。何が起こるのか楽しみです〜。」
「ダメだって!」


山本が止める。が。
それとは別に校舎裏へと歩をすすめる影。


「やぁ、今日も仲良く群れ群れしい諸君。」
「…雲雀!おまえも来てたのか…って、そっちはダメだって!」
「さっきの小芝居は僕も見ていたよ。僕も興味あるね。邪魔したらかみ殺すよ。」
「だからダメだってばおまえら〜!」


いくら山本が一生懸命になろうと、なんとなく流されて獄寺が山本に加勢してみようと、興味津々の暇人2人を止める事はでき…できるんだろうか?

















校庭であんな愉快な事が起きているとも知らずに、こちらではぽつんと一人でカバンを探すツナ。

「山本のカバンと色紙…。あ、あれかな?」

今は使われていない古い焼却炉のそばに、泥とキズだらけのカバンがあった。隣には色紙も置いてある。

ざり…ざり…。

敷地の砂の上を、背後から誰かが歩いてくる足音がする。ツナは気がつかない。
「へぇ、色紙かぁ…いいなぁ。びっしり書いてある!」

ざり…ざり…。

「…っと、そうだ。こんな事してる場合じゃないや。早く校庭に戻ろう。」
ツナが立ち上がって振り向いた、その時。背後の足音の主と目が合った。