昨日の晩の会議にて、今本部に居る幹部達に明日の運搬に関する資料と、細かい説明が行われた。
獄寺がやたらと張り切ったり、山本が半分寝てたり、ランボが涙目になったりと、まるでいつもと変わらなかった。
いつもと変わった所があったとすれば、フゥ太が欠席した事くらいだろう。フゥ太は貧血を起こして廊下で倒れていた、と骸が言っていた。
そしてその後、その場に居なかった者達にメール、あるいは電話で伝達が行われた。
そして今日、運搬前日である。
休憩がてら、ヴァリアーの詰め所でベルフェゴールとオセロで勝負しているツナの携帯へ、メールが着信した。
メールの送り主は雲雀で、内容はもうすぐ日本からイタリアへ向けて発つ、との事だった。
「雲雀さん、今出発するってさ。」
「ししし、それじゃ到着は今からだいたい12時間後…ってとこだね。」
「だね。」
ツナの手が駒を打ち、盤面に占める白の割合を増やす。
直後に、ベルがまた駒を打ち、今度は黒の占める割合をかなり増やす。
今は、盤面の約三分の一が黒く染まっていた。
「ああああああああ!また、敗色濃厚な気配!」
「ししし、王子また勝っちゃうかも?」
「そんな事ないよ。今有利なのはツナヨシの方さ。」
「うおっ!マーモン、いつのまに!?」
「さっき来たんだよ。」
「しし、ねぇマーモン、どう見ても王子のが勝ってるのに、ツナヨシのが有利ってどういう事なのさ?」
「簡単だよ。盤面はほとんどベルの陣地。でもさ、白い駒がちらちらと残ってるよね。すると、そこはツナヨシの攻撃のきっかけになる。使い方次第じゃ逆転も可能だよ。」
「…王子はうっかり負けたりしないもんね。」
「へぇ〜、そっか。(そーいえばこの前、同じパターンで骸に負けたんだっけ?あの時の骸のパターンを使えば勝てるかも!?)」
「それに、オセロの優勢、劣勢って、駒の陣地の面積で見るんじゃないんだよ。」
「え、じゃぁどうやって見るのさ?」
「駒を置ける場所が多い方が有利なのさ。」
「すると…あ、王子の方が劣勢じゃん!」
「そういうこと。」
「へぇ〜、そうやって見るんだ…。あ、俺の番だね?そんじゃ…ここで。」
ツナの手が駒を打つ。盤面が少し白くなり、直後にまた黒の面積が増える。
「……。」
「ししし!」
「ねぇマーモン。」
「有利な盤面を活かしきれるかどうかで、プレイヤーの力量が知れるよね。」
「……。」
直後に、扉が破壊的な音を立てて開かれた。
「んまー!ツナヨシ君じゃない!今日はベルと一緒なのね!?」
「あれ、ルッスじゃん!」
「やぁ、ルッスーリア。」
「あ、お邪魔してます。」
「んもう!ボスが一番謙虚でどうするのよ!…ってあら、オセロやってたのね?ツナヨシ君好きよねぇ、オセロ。」
「あれ、俺ってそんなに頻繁にオセロばっかやってたかなぁ?」
「そういえば最近よく見かける気がするね。」
「しししし!好きならいいんじゃねー?王子もオセロ嫌いじゃないし!」
「うーん…。チェスだと本当に誰にも勝てないし。じゃぁ、オセロで…とは思ったんだけど…。」
「ツナヨシ君、白?……場数ふめばきっと巧くなるわよ。」
「……まだまだこれからなの!…それっ!」
「しし、ツナヨシ、甘いね!」
「ああああ…。」
「ツナヨシ、勝負の項目変えたら?」
「そうねぇ…。ちなみにこれ、本日の初戦?」
「ううん、3戦目。」
「今んトコロぉー、王子全勝—。」
「やっぱ、勝負の内容変えなさいよ、ツナヨシ君…。こう…もっと運の要素の強いもの、カードとかに…。」
「あ、王子また勝利!」
「あう…くやしい…!」
そしてその後、ルッスーリアも交えたトランプでも綱吉はもののみごとに惨敗し、重たい空気を背負ったツナは執務室へ。
ベルとルッスーリア、マーモンは本日の持ち場へと向かった。
同時刻、空港にて。
「へぇ…随分でかいなぁ…。」
「あぁ…。十代目の話だと、SILVERの野郎がこいつを狙ってるらしいが、どうやって盗むつもりなんだ…?。」
今日は雲雀からの荷物が届き、それを本部にあるボス・綱吉の自宅へと運搬する日。
運搬と警護に関する指揮を執るべく、荷物の到着が予定される空港に、山本と獄寺が到着すると、そこに待っていたのは予想外に大きな荷物。
荷物は山本の約三倍くらいの高さがあり、見上げる首が痛く成る程に大きな金属の箱だった。
「運搬のトラック、でかすぎるんじゃねぇか?とか思ったけれども、ひょっとしたら足りないかもな?」
「あぁ…。ボンゴレの巨大トラックでも…って、中身何が入ってんだ?いや、十代目が何もおっしゃらないのに、勝手に推測する訳には…!いやでも…。」
「君たち遅い。かみ殺すよ。」
「雲雀!」
「まぁいいよ。今回は見逃してあげる。僕もやることあるしね。」
「てめぇが早く着いただけだろ!」
「まぁまぁ獄寺…。あれ、雲雀はこっちに合流しないのか?」
「群れたくないし。」
「は!?てめ雲雀果たすぞ!」
「綱吉にはちゃんと許可をを取ってあるよ。昨日メールが入っててね、僕はフリーだってさ。」
「十代目が…?」
「へー、そっか。ツナがそう言うんならそうなんだな。じゃ獄寺、運ぶぞ!」
「…もし盗まれたりしたら、かみ殺すじゃ済まさないから。」
そういうと、雲雀は別の場所に停まる高級車の方へと歩いて行った。
「今の時刻は22:14か。犯行予告は0:00。怪盗め、今度こそとっつかまえてやる!」
「ここから本部まで、普通に車を運転すると2時間くらいなのな。でも、コイツを運ぶとなると…重そうだし、40分くらいプラスしとくか?」
「あぁ、問題ねぇだろ…ヴァリアーの連中も到着したみてぇだな。」
「こっちにはスクアーロとレヴィが来るって言ってたな。」
「守護者2人、ヴァリアー2人。SILVERもこれをかいくぐってあの巨大な箱を盗むなんて不可能だ!ざまぁみろ!」
「あぁ!ツナを困らせる奴は、とりあえずかみ殺しちゃうのな!」
「山本、なんか混じってねぇか…?」
そして、箱がボンゴレの巨大トラックの荷台にくくりつけられて、発進する。時刻は23:01。怪盗の犯行予告時間まであと59分。