「ねぇ綱吉君、綱吉君?」

執務室で休憩中のツナ(獄寺と雑談中)に、骸が話しかける。
ツナは少しめんどくさそうに顔を上げて、目線を骸にあわせる。

「なに?どーしたのさ、いきなり。」
「てか、てめーいつここに入って来たんだ?」
「いつって、今さっきですけど。…最初に言っておきますけど、今日はちゃんとノックしましたよ?」
「へー。でも聞こえなきゃ同じだよ。」
「そんなの、聞いていない方が悪いに決まっているじゃないですか。…で、ですね。用件聞いてもらえます?」
「うんうん、そうだった。またいつものノリで忘れる所だったよ!で、なぁに?」
「あのですね、休みが欲しいんです。」
「へぇ、骸が自分から休みが欲しいって言うなんて珍しいね。うん、いいよ。で、いつがいいの?」
「今週の日曜日ですぅ。」
「うおっ、いきなり。」
「唐突なのは承知の上です。でも、できれば…というより、無理矢理にでも空けたいのです。」
「そこまで言うのなら…調整しない事もないけど。ちなみにさ、それって何でなの?…って尋ねてもいい?」
「えぇ。別にかまいませんよ。綱吉君はギリシャ神話の怪物、メドゥーサって知ってます?」
「…なまえだけ。」
「おい、メドゥーサって、アレだろ?ギリシア神話に登場する…頭は無数の毒蛇で、見たものを石に変える能力を持つ魔物だろ?」
「えぇ、そうですよ。そのメドゥーサであってます。っていうか居たんですね獄寺隼人。…最近ね、エーゲ海沖で女神アテナの神殿が見つかったんですよ。そこからその”怪物メドゥーサ”の頭部…と言われるモノが出土したようなんです。」
「そういや、ギリシアの国立大学で研究中とかって、”月刊世界の謎と不思議”にでてたな…。でも、一般公開はされてねぇハズだぞ?」
「まぁね。でも、ラッキーな事にそこの教授に知り合いが居ましてね。興味本位で頼んでみたら…見せてくれるそうです。それで、その教授の都合に合わせると日曜日が丁度良かったんですよ。」
「…テメェに大学教授の知り合いなんて居たんだな。」
「いやまさか。たまたま博物館の側で三下のチンピラにからまれていた教授を、僕が助けただけです。」
「えっ…?」
「骸が人助け…!?」
「なんですかその反応。たまたま機嫌の悪い時に、殴っても誰も文句を言わなさそーなのが居ただけですよ。人助けになったのは、ただの偶然です。」
「なるほどな。」
「なっとくー。」
「で!結局、休みをくれるんですか?くれないんですか?まぁ、くれないなら勝手に休みますけれど!」
「いいよ。今は別段やんなきゃいけないような事もないしね!…でも。」
「でも?」
「俺も日曜日は休みなんだ。…ついていったらダメかな?」
「別にかまいませんけど…あなたがこういった事に興味を持つなんて珍しいですね?」
「うん。この間のテレビで、なんか”古代文明特集”みたいなのが組まれててさ。なんとなく、それを見たせいなのかも…。ちょっと、見てみたいなって思って。」
「あぁ、結構やってますよね、そーゆー番組。」
「うん。」
「じっ、十代目も見てらしたんですか!?俺、バッチリ録画しました!」
「見てたっていうか…バラエティとか、漫才のテンポに疲れたからチャンネル回してたら何となく目について…何となく気になって…気がついたら終わるまで見ていた、みたいな。獄寺君みたいに、録画する程好きって訳じゃないんだけど。…なんとなくね。」
「…お正月の遺跡特番は絶対それで視聴率稼いでますよね。でなきゃ4時間も5時間もやれないですよ…。」
「十代目が行くのなら俺もついていきます!(きらきら…)」
「…あ、あのさ骸…。」
「……わかってますから。いいかげん慣れますよこの流れにも。…それに、ここまで興味深々にされると断ったら呪われそうです。では博士に連絡を取っておきますね。」
「ありがとう!」





古代の秘宝を奪り返せ!



~ Mito senza tempo ~






—そして日曜日—

「ほえ〜。ついた…の?」
「えぇ。地図によればこの大学のハズです。」


彼らの目の前にそびえるのはギリシア国立大学。
古い様式の建築物だが、重厚で巨大だ。積み重なる歴史のせいか、摩天楼よりもよっぽど強い、重厚なプレッシャーを放っている。
構内では休日であるにもかかわらず、たくさんの学生達が歩いているのが目に留まった。



「そんじゃぁ、受付に…」
「そうですね、行きましょう。時間も丁度お昼ですし。………ごーくでーらはーやとぉ〜?もーしもしぃ〜?」
「…うるせぇよ…。」
「目がすわってますよ?」
「…。」
「まぁ、しょうがないよ。朝五時の飛行機で来たんだから。」
「やれやれ、先が思いやられます。」

そうして、彼らは受付を目指す。





案内されたのは広い研究室だった。
壁際にはぎっしりと本が詰まっているが、本棚の壁の反対側が大きな窓になっているせいで暗い印象はなく、開放感のある素敵な空間となっている。

少し待つと、おだやかな顔つきをした初老の男性がやって来た。

「よく来てくれたね、ムクロ君!」
「お久しぶりですノールド博士。今日はすみませんね。こいつらが電話で話してた2人です。」
「はじめまして博士!俺、骸の友人で綱吉っていいます。んでもって、こっちが獄寺君。」
「こんちわっス。」
「こんにちは。ムクロ君から話は聞いているよ、ツナヨシ君、ゴクデラ君。はじめまして、私がこの部屋の主ノールド・アルギュロスだ。ここでギリシア考古学を教えているのさ。」

一通りの挨拶が終わった所で、骸が切り出す。

「ところで教授。このあいだ言っていた…」
「あぁ、メドゥーサの頭だね?」
「えぇ!」
「それなら。」

そう言って、ノールド博士は一旦席を立った。
博士はすぐに戻ってきたが、その腕には、パソコンの箱くらいの大きな箱が抱えられていた。

「…ふぅ。さ、開けようか。」
「あ、手伝いますか?」
「いやいや、お客様の手を煩わせはしないさ。」
「ですって、綱吉君。」
「…何が言いたいのさ。」
「べっつにー。ただ、いつになったら他人の手を煩わせないで自分の仕事が出来るようになるのかなって思っただけですぅー。」
「ふーんだ、悪かったですねー。どーせダメツナでーすよーだ。」
「そんなことないです!十代目は素晴らしいです!十代目ほどの人間なんて、この世界にそうそう存在しません!」
「いや、獄寺君…。嫌味に対してノリで答えてるだけだから…。本気で落ち込んでたりしてる訳じゃないから、無理しないで…。」
「無理なんかしてないです!俺は正直に思っている事を言っただけですっ!」
「……そっか。ありがと。」
「大変ですねー。」
「いつもの事だよ、知ってるでしょ。」


そうこうしているうちに、箱は開いていた。
現れたのは、学校の美術室に置いてある、デッサン用の石膏のコマのような、女性の頭部だった。


「うおっ!こ…怖い顔だな…。」
「あぁ、それにはね、伝説があるんだよ。」
「伝説?」
「それはこうさ。美しい少女であったメドゥーサは、周囲にその美貌を讃えられているうちに、次第に傲慢になっていく。そしてそのうち、とうとう女神アテナよりも美しいと公言してしまうのさ。この発言が女神アテナの怒りを買い、醜い怪物の姿に変えられてしまった。…ってね。」
「ちなみに十代目、彼女は物語の中では最後、英雄ペルセウスによって首を切り落とされて退治されるんですよ。その後は…確か、女神アテナに献上されて、自分の盾に嵌め込んで飾ったとか。」
「へぇ…。ただ、私は女神より美人だって言っただけでこの仕打ちって…ちょっとヒドイ気もするなぁ。」
「それもそうですよね。女の戦いってやつ、ですか?」
「うーん。この場にハルか誰か居れば、聞いてみたんだけどね。」

「実はねツナヨシ君、メドゥーサの頭部とともに、こんなものも見つかったんだよ。」

そう言って、ノールド博士は机の引き出しの鍵を開けて、琥珀色の宝玉を取り出した。

「すげーな…。」
「キレイだね…。光に当たってるところ、金色に見える!」
「なんだか、綱吉君の目玉みたいですね。」
「たまにゃテメーもいい例えをするじゃねーか。」
「そうかなぁ?俺には…あれ?この中に何か…」
「あぁ、それはね…」


その時だった。

開け放たれた窓から、唐突に招かれざる侵入者たちが現れた。
ツナ達4人は侵入者、黒スーツにサングラスの男たちに取り囲まれる。

「何だ!?」
獄寺が叫ぶと男たちの向こう側から、杖をついた背の小さい鋭い目付きをした初老の男性が現れた。

「久しいな、ノールド博士。」
「博士のお知り合いですか?」
「…その声、ガーフィールドか?貴様、何のつもりだ!」
「何のことはないさ。級友が秘宝、メドゥサ・アイを手に入れたと聞いてね、どうせならばと直に見に来た。それだけさ。」
「見に来るだけならば、一人で来ればいいだけの話だろう。」
「いやいや。この年になると、ちょっとばかり足腰が心配でね。さ、見せてくれないか?古代の人間たちがその力を恐れ、封印したという古(いにしえ)の秘宝を。」


ちゃき。


男たちの持つ銃の銃口が持ち上げられる。

「…っ!」
「どこにあるんだ、ノールド?私があまり気が長い方じゃないのは、君もよく知っていると思うんだが。」
「…。」
「早く言わないと、貴様の客人もろとも…」
「…わかった。ここに、今私の目の前の机にある琥珀色の玉だ。」
「…おい!」

黒服が2人、博士の机に近寄る。

「あったか!」
「ありました!」
「ならばもう用はない、帰るぞ!…それではノールド博士。発掘作業、ご苦労様。」

そうして、黒服の一味は去っていった。



「…ノールド博士、大丈夫ですか!」
「私は大丈夫だよツナヨシ君。君たちも…無事のようだね。」
「博士、あいつら、何者なんです?博士のことを知っていたようですが…。」
「…黒服の一味の中に、背の小さな初老の男が居ただろう?あいつの名前はガーフィールド。…大学時代の研究仲間だ。…発掘費用欲しさに、裏社会の連中と手を組んだという噂は本当だったんだな…。」
「なんでそいつが、あの宝玉を…?」
「手柄欲しさじゃねぇっすか?」
「いや、違う。先程見せたあの宝玉の通称は…メドゥサ・アイ。あれは、ただの宝玉ではない。」
「…というと?」
「あの、ツナヨシ君の瞳に似た琥珀色の宝玉。あの中は透き通ってはいなかっただろう?何も見えなかっただろうね。あの宝玉そのものは厳密に言うとメドゥサ・アイではない。本物のメドゥサ・アイは、その中にある。」
「その中!?え、じゃあ、ずいぶんと小さそうだけど…?」
「当たり前さ。…古文書によれば、中には神話の怪物、メドゥーサの右の眼窩に収まっていた目玉が入っているらしい。」
「げ!…それって、本物…?」
「おそらくな。個人的な事を言って良いならば、私は本物だと思う。…まぁ、周囲の連中は、この科学の時代に神話や魔術などと、鼻で笑うがな。」
「…俺は、科学で解明できるものが全てだとは思わないですけど…?」
「俺も…。」
「ねぇ、横目でちらちら僕を見るのやめてもらえます?」
「んな事言われたってよ…。」
「ねぇ…。」



「しかし、そんな古いもの…中身は腐ってねぇんスか?」
「さぁ?判りませんよ。もし本物の邪眼ならば、まだ使えるかも。あるいは、何かの古代兵器の鍵だったりして?」
「兵器…間違ってはおらんかもな。見たものを石に変える。科学ではたどり着いてはいない世界だ。もし使いこなせれば世界を相手にすることも可能だろうな。」
「素敵です〜!」
「喜ぶなっ!」
「でもでも、ガーフィールド博士が、マフィアのスポンサーを持っているなら…」
「メドゥサ・アイを扱える可能性のある人間に、適合させる人体実験に手を出すのも時間の問題かもしれませんねぇ。」
「…だよねぇ。あったらきっと、使ってみたいと思うだろうしね…。それに、見たものを石に変えるって、対処のしようがなさそうだもの。もし実用化されちゃったりしたら…骸よりも厄介そう!」
「何ですか、その引き合い!僕はとっても従順で忠実でしょう?ちゃんと貢献もしてます!忠誠心溢るる、超ウルトラ最高の部下じゃないですか!」
「うそつけ!」
「うそこけ!」
「む。ひどいです!うっざいです!葬りたいです!…まぁこの話は、ちょっとその辺のドブにでも置いておくとして。」
「ドブってなんだよ!拾うときにいやだろうが!」
「それよりも、僕はガーフィールド博士が連れていた連中のが気になります。なんだか変わった…妙なタトゥーを入れてましたね。…ねぇ綱吉君、君、拾う気があるんですか?」
「あぁ…見ないし聞かない連中だな、そういえば。でもあのマーク…なんか引っかかるんだよな。…十代目、そんなもの拾う必要ありません。」
「見ない連中…君ら、そんなこと判るのか?」
「!!!!…博士!…えーと…!」
「いえね、こちらの綱吉君のおじいさまが、イタリアの貿易会社のお偉いさんなんですよ。僕らコネで入った若い下っ端は、警備担当な訳で…必然的にたかってくる雑魚を蹴散らすからです!まぁ、仕事ですから!覚えるんですよ、なんかいろいろ!」 「そういえば、獄寺君は綱吉君の事を十代目って…」
「…げ!」
「……に、似てるんですよ!俺と今の十代目と…で、あ、あだな、みたいな。えっと、」
「そうか。大変だね。」
「「はい!」」(まったくもう…。)


「にしても…メドゥサ・アイをどうするかなぁ…。」
「取りかえすっきゃないでしょう十代目!偉大なる古代の秘宝を、あんな奴らには渡せません!」
「ねぇ綱吉君。僕からもお願いします。」
「うん、そうだね。目の前で取られたのに無視するのもなんか後味悪いし。骸二号が出てきてもいやだし。」
「僕が目立たなくなるなんてイヤですし!」
「うん、それ一番どうでもいいね。…しかしどーするかな?」


「…今更なんですけど。」
「ん?」「骸?」
「今更なんですが、この件僕らだけで大丈夫ですかね?あまり大事には至らなければいいのですけど…。」
「…なんだ、てめぇ骸まさか、あんな連中相手にビビってんのか?」
「そう…とも、いえるかもしれませ…ん?」
「めずらしいね、こんなの初めてじゃない?」
「…魔術を相手にする時に一番いけないのは”無知であること”です。対処が判らなかったり、手順を間違えたり…太古の昔から、これによってたくさんの魔術師が死んだり、まったく関係のない人間が大量に悲惨な目に遭ったりしています。ってゆーか、昔ならともかく、今の僕と相手の能力とが未知数状態で戦って、無傷で済むかどうかを考えてみれば分りやすいと思うんですけど。僕は今の状態のままメドゥサ・アイを相手にすることについては…良くは思いません。」
「…つまるところ?」
「まず、僕らに足りていないのは情報だという事です。メドゥサ・アイだけではなく、ね?あの黒服連中についても、ある程度の拠点、メインの資金源に首領の名前くらいは最低限控えておかないと。そもそも名前もわからないんじゃカッコもつかないですし。それに…ガーフィールド氏についても、マフィアとの癒着から力関係云々。…知るべき事はたくさんあります。」
「…どのくらいの人手がいるかな?今の人数じゃ足りないよね。」
「それについて…さらにですが、この件に関しては大きく人間を動かす事はできないですよね。」
「…ガーフィールドの後ろの連中にもよるが、基本的には俺らの個人的な行動だからな…。」


「なぁ君たち?」
「博士!」「ノールド博士?!」「おっさん!」
「(獄寺君、おっさんはマズイって!)」
「(あ、うっかり…)」
「そこは気にしなくて良いよ、学生達にもそう呼ばれているしね。」
「うぉ!聞こえてた!」
「ははは、遺跡とガーフィールドの捜査と情報に関してなら、私にも手伝えるかもしれない。…というか、この老いぼれにも良かったら手伝わせてはくれないかね?自分の事なのに、ずっと若い子に任せるのもね?」
「それはありがたいです博士!…それではさっそくなんですが、博士、ガーフィールド博士の居場所について何か判りますか?」
「…噂で聞いた話では、アテネの端に住んでいると聞いた。だがしかし、その前に寄りたいところがある。」
「寄りたいところ?」
「この前見つかったという女神アテナを祀った神殿だ。」
「まさか…!」
「獄寺君?」
「あぁ、メドゥサ・アイに気を取られて見落としていたが、確か一緒に、アイギス…怪物メドゥーサを倒すときに使われた女神の盾、首を切り落とした伝説の英雄ペルセウスの剣もあったはずだ。ひょっとすると使えるかもしれん。それに…」
「それに?」
「遺跡内の文字に、未だ解明されていない箇所がある。ひょっとしたら、そこが解ればメドゥサ・アイ攻略に役立つかもしれん。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「まだ、断言はできんがな?」

「それじゃ、街で捜査をする方を考えないとな…。」
「…十代目、ここ最近は特に何もないので守護者はほぼ全員空いています。本部の方はヴァリアーに任せて…まぁ、今こっちにかまけると後で少々忙しくはなりそうですが…。」

手帳を広げた獄寺が言う。

「うん。確か、ハルと京子ちゃんも休暇だった気がするよ。」
「犬、千種、髑髏の三人も呼びましょうか?」
「お願いできる?」
「後は、アルコヴァレーノをどうするかですねー?これだけ身辺動かせば、絶対何か言って来そうです。」
「だな。リボーンさんにバレたら…。」
「…マーモンに頼んでみるよ。お金…ちょっともったいないけれど。あとは、九代目におねだりする…。」
「今度はなんて言われますかね?」
「前回の、”一ヶ月休みが欲しい”の対価は、ザンザスと一緒にスキーを滑りに行きたいから説得して?…だった。あれを上回る欲求は…来ないと思う。」
「わかりませんよ?今は夏だし海水浴かも。」
「…。」


「十代目!空いてる連中に連絡がつきました!全員アテネに向かうそうです。」
「そっか、ありがとう!集まったら指示を出さなきゃ…。てか、俺たちはどうしようかなぁ。」
「獄寺隼人が現地へ向かって、僕と綱吉君と博士が遺跡、でいいんじゃないですか?」
「…なっ!十代目をお守りするのは俺だっ!てめぇが消えろっ!」
「まぁまぁ、獄寺君。」
「十代目の代行として、皆を率いる現地のリーダーが必要でしょうが。これぞまさに右腕のお仕事じゃないんですか?それとも、元敵で分類:ザコその一の僕にそんな大役を果たせと?」
「…十代目…そのお仕事、しかと承りましたっ!この、十代目の右腕たる獄寺隼人、存分に働かせていただきますっ!」

そうして獄寺は研究室を飛び出して行った。

「俺、何にも言ってないよ!?」
「僕なんか間違った事言いました?」
「…まぁ、指示的には骸が言った通りなんだけどさ。なんかしゃくにさわるってだけだから。」
「やーい、無能。」
「殴るぞ骸!」
「反撃しますよ!」
「ごめんなさい!」
「よろしい。」
「(…あれ?)」