「資料、こんなもんか?」
「十代目、大分まとまってまいりました!」
「うん、これからラストスパートだね!」
「あぁ、とっとと終わらそうぜ!」
「ハルもがんばりますですー!」

彼らが居るのは図書館である。机にはたくさんの資料がちらばっている。
そう、彼らは授業のグループ研究のテーマに”並盛の郷土史”を選び、それについて調べに来ているのだ。
ちなみにハルは図書館でヒマを潰していた所、たまたま会ったツナたちの手伝いをしているようだ。

「……あれ?。」
「十代目?」
「どした、ツナ?」
「はひ?」
「あのさ、みてよこれ。さっき、こんなのが資料から出てきたんだ。」
「なんか…。」
「これは…?」
「地図、みたいっスね。並盛町の…なのか?」
「うーん、ずいぶん古そうなのな。あぁでも山や川、神社の位置は合ってるみたいだぞ?」
「はひぃっ!?ここ、何かの印がついています!ここは…多分、並盛小学校の裏山のほこらじゃないですか?」
「何かあるのかな?」
「なぁ、作業も一段落したし、ちょっと見てこないか?」
「宝探しみたいです!ワクワクしますですよぉ〜!」
「おぅ!絶対何かあるぞ、これは!行きましょう、十代目!」
「うん行こう!こんなチャンス、めったにないよ!」




 洞窟大作戦!



~ Underground adventure writing ~






「…で。どこなんだ?この…ほこらは?」
「うーん、わかんないのなー。」
「そういや、ここの山ってほこらだらけだもんね…。」
「まぁ、このへん…って事だけは確定、なんスけどね…。」


彼らは今、並盛小学校の裏山に来ていた。古地図の印によると、ここらへん、というのは判る。
ただ、目印らしいほこらがたくさんあって、どうしようもないだけだ。
ほこらは、大きかったり、小さかったり、石だったり木だったり、朽ちていたり、形を保っていたりしていた。


「うーん、これ以上の場所の特定は無理かなぁ?」
「だな。…ん?どうした、獄寺?そんなに熱心にきょろきょろして?」
「あぁ…。何か変だなと思ってな。」
「何もおかしい所なんてないよ?」
「でも…妙な気配がするんです。」
「はひ!何かそれは怖いです!早く帰った方がいいのかも?」
「妙な…かぁ。」

そう言って、ツナは近くの石に腰掛ける。
そこにはコケがついており…。

「うわぁっ!」

ツナはすべって反対側にひっくりかえってしまった。

「十代目!?」
「ツナ!」
「ツナさん、大丈夫ですかぁ!?」

「いたた…大丈夫……あれ?」
「ツナ?」
「ねぇ山本、このほこらの中の紋様、なんだろ?」

ツナはひっくり返ったまま山本に尋ねる。

「これか?」
「ううん、もっとそっちの、木で出来てて壊れてるヤツ…俺の目線で見えそうな方ね。」
「十代目、これっスか?」
「あ、そうそう、それだよソレ。」
「なになに…変な紋様だな?」
「はひー。あれ、これって…?」
「知ってるのか?アホ女。」
「むぅ、ハルはアホじゃないです!…この紋様って、このほこらの並び方といっしょじゃないですか?」
「言われてみれば…。でも、ほこらの数がひとつだけ、合わねぇぞ?足りてない。」
「不思議だね。ひょっとして、もう壊れちゃったのかな?」
「掘ってみたら何か出て来たりしてな!」
「そうだね!ちょっと掘ってみようよ!」


「ねぇ、君たち何してるの?」

「げ!」
「はひ!」
「その声は!」
「ひ…ヒバリさん!?」

突如、現れたのは、並盛の秩序にして最強の不良、雲雀恭弥だった。

「僕は、君たちが何をしているか聞いたんだけど。」

ツナがおそるおそる答える。
「えっと…ちょっとした宝探しを…してます…。」
「なんで?」
「…図書館で、郷土史を調べてたら、こんな地図が出て来たんです…。」

雲雀はツナの差し出した地図を一瞥する。

「それで、こんなとこで群れてたんだ。」
「かっ…かみ殺さないで下さいぃ〜〜〜〜っ!」

「いいよ。」
「は?」
「今回は見逃してあげる。」
「え…本当に!?」
「これから掘るんでしょ?そこ。何が出てくるのか、僕も興味あるし。」
「…はぁ。」
「文句ある?」
「ありません!」

そして、ツナたちは掘りはじめる。雲雀はそれを見ているが…。

「ねぇ。」
「どした、雲雀?」
「なんでここを掘ろうと思ったワケ?」
「なんでって…その地図にあったからだけど?」
「その地図はどこにあったの?」
「図書館にある資料室の、資料の中にはさまってたのな。」
「…。」
「雲雀?」
「なんだっけ…。」
「?」
「思い出せない。何か重要な事だったような気がするけど。」
「何か、曰くでもあるのか?」
「わかんない。でも…。」

「見て山本!何か出て来た!」
「マジか!」
「あ…。」

そう言ってツナが、土まみれの手で山本に渡したのは、片手で持てるくらいの小さな壺。

「栓がしてあるな。」
「開けてみようよ!」
「では、ぜひご開封を十代目!」
「何か重たいです!お宝が入ってるかもですよ!ワンダフォーですよぉ〜!」
「うん!じゃ、あけてみよう!」

「…思い出した…!」

雲雀がつぶやくのと、ツナが閉められた栓を開けるのは同時だった。