「ちび!まだ追ってきているか!?」





……どしん!……どしん!





「……ばっちりついてきているみたいだ…っと!わぁっ!」



木がなくなった!?目の前は切り立ったガケだ!!
わたしは全力疾走だった。

………とまらなきゃ!!!落ちちゃう!!





ガケがせまってくる!
止まらなきゃ落ちて死んでしまう!
止まったら足音の主に食われてしまう・・・!!

そう思った瞬間、足がもつれた。
……だめだ!とまらない!とまれない!…………もうだめだ!落ちる!!!



そして、大地がなくなった。















眼下にどこまでも続く広大な森が見える。
黒緑のじゅうたん。

そうか、にいさま達はいつもこんな景色を見ていたんだ。



わたしも  じゆうに そらが  飛びたかった………な。
















「……………っつ……!」


がくんっ!


くびねっこのあたりをつかまれた。
ばあやに脱走を見つかったときみたいだ。
……ばあやほどうまくつかまえてないけれど。








わたしはおちなかった。

迷子がわたしの服(首のうしろあたり)をつかんでへろへろと浮いていた。
ゆっくりと、カメの歩むようなスピードでわたしの落ちたがけよりも、少しずれたところを目指す。


さきほど、わたしが落ちたであろう場所から、竜のちいさいのみたいな魔物(それでもわたしたちからすればすごくおおきい)が勢いよく、止まりきれずに落ちていった。


「……あんなのに追われていたのか………。」

そう思うと寒気がする。
あ、無事に地面を踏めそう。







「……ふぅ。てまをかけさせやがって……!」

「……!………あ!……ぁ…」

「……?」

「あ……ぅ………!」

「……怖かった…か?」

「…………………………………ありがとう………。」

「……なんか言ったか?」

「……むぅ。………貸しをつくったとか思うなよ。」

「………おまえ、とことん可愛くないな。」




礼ぐらい言った方がとか思ったのがバカだった!
そう思っていると、おもむろに星がながれた。
星を目で追ってたら……



………… !!!……みつけた!


「まったく、われわれはどこにいるものだろうか………。」


迷子がぼやいてる。
「こっちだ!」


わたしは迷子をつれてガケにそって走りだす。
星の流れたほうに向かって……。