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事故から数週間程たったっス。
ユーリの傷はすっかり癒えて血の匂いもしなくなったっス。
でも、消えなかった傷は一生のこると、思うっス。
あの時、"もしも子猫を抱いていなかったら"ユーリは完全に即死だったらしいっスね。
あの高貴で気高いヴァンパイア様を救ったのは一匹の子猫だった、
なーんて、メルヘン王国でもなかなか聞かないような、まるでおとぎ話っスよね。
ユーリってば未だにあの子猫に名前を考えているっス。
まったく、こういう時ばかりは優柔不断なんだから。あの鬼リーダーは。
「そうそうユーリ、お医者さんが言うには早ければ今週中にも退院できるカモみたいっスよ。」
「そうか。それは楽しみだ。いい加減、この病室にも飽きたしな。」
開いた窓から気持ちいいそよ風。
あぁ、今日もいい天気っスねぇ。
ユーリがふと、思いついたように唄を口ずさむのが聞こえるっス。
———あぁ、懐かしいっスね。
その唄はメルヘン王国に住む生き物なら誰でも皆知っている、古い古い子守唄。
———小さい頃、母さんがよく唄ってくれたっけ。
ユーリの歌う子守唄は晴れた空に遠く、優しく、響いて行った。
おしまい。
Memorial Melodyを漫画にしたときに出来なかったことをしてみました。
漫画だと、背景が変わらないまま延々と人物が言葉を発する。
なーんて画面が面白くないので小説の利点として、そこをを最大限に利用してみました。
しゃっべってますね。延々と。
ユーリの死にかけているとこなんかずーーーーっと真っ暗だし。
◆◆
これ多分、私の作ったお話の中でもきっと、一番古い話の1つだと思うの。
サイト改装にあたってページや行間打ちなおしたんだけど、よくまとめたな、とは、思う。
最近作ってるようなお話に比べて、かわいいお話書いてたんだな…。