「…これは了平さんからだな?了平さんは何をしていたのかな?」



“よぅ沢田!久しぶりだな!”



「うわぁ。了平さんらしい字だな…。」

“ふむ、きっとお前の事だ、いつものように執務室に引きこもってこの手紙を読んでいる事と思う。”

「たはは〜、あたり…だなぁ。」

“だがしかし!そんな事は極限気にしない!なぜなら、いつも通りの事をだからだ!
そうそう、で、報告であったな!この手紙は、消印を見ればすぐにわかると思うが、休暇のはじめの一日目に書いた!全然報告にはならんが、忘れるよりいいと思ってな!
それでは、予定を書くぞ!
俺はこれからコロネロ師匠と共に、修行の旅に出るのだ!
ちなみに、休みいっぱい、全て使い切る予定でいる!

休み明けには、最強の守護者は雲雀恭弥から笹川了平に変わるのだぁーー!!”



「…まだ強くなる気なんだ…。それにしても了平さん、この間のお正月バトルトーナメント(リボーン企画)でヒバリさんに負けたの根に持ってる…だろーな…。
決勝のヒバリさん以外には負けなかったワケだし…。
目指せ極限チャンピオンは、2位じゃ納得しないよね、きっと。
それにしても、コロネロと修行の旅って、過酷そうだな…。」












それから2週間後

「ツナヨシ、手紙が来てるよ。」
「あぁ、ありがとう、マーモン。」
「感謝しなくていいからお駄賃ちょうだいよ。」
「…うわー、かわいくねー。」
「くれないの?ふんだ、ケチ。」
「おまえにだけは、ケチって言われたくないな…。」
「ちぇっ、つまんないの。それじゃ、手紙は確かに届けたからね。」
「あっ、ちょっと待ってよ!」
「なにさ。」
「お駄賃って程じゃないけど、これ、良かったら。」
「金貨…じゃ、ないね。これは何?」
「チョコレートだよ。コインの形してるだけだけど。この前母さんから小包が届いてね。いっぱい入ってたから、少しおすそわけ。」
「…。」
「そんな、まじまじ見つめる程珍しいものじゃ…なくない?」
「珍しいよ。こんな安っぽいチョコレート、なかなかお目にかかれないからね。」
「…まぁ、お前ならそうだろうね。要らないなら、別にいいよ。俺このチョコ好きだし。俺が食べる。」
「待ちなよ。だれも要らないなんて言ってない。」
「…あ、そ。」
「もらっておくよ。安い味に興味がある。…それに、この包み紙、ただの銀紙だけどキラキラしていてキレイだしね。ベルに自慢してやるさ。」
「あはは。うっかり取られちゃわないようにね。」
「僕はそんなヘマはしないよ。…お駄賃、たしかにもらったからね!」
「はいはい。」








マーモンが居なくなった後、ツナは届いた封筒の封を切る。

「あ!これは京子ちゃんからだ!」




“ツナ君へ
こうやって手紙を書くなんて、お仕事の報告書以外じゃ初めてだね。今は白紙の便箋にちょっと戸惑って、ドキドキしています。“


「ドキドキだって…京子ちゃん可愛いなぁ…。」


“私は今、南米、地球最後の秘境こと、南米ベネズエラ、ギアナ高地に来ています。”

「…なんか、京子ちゃん、デンジャラスな所に行ってるーー!!」


“本当はハルちゃんや髑髏ちゃんと一緒にフランスに行って、一緒にエッフェル塔やルーブル美術館に行く予定だったんだけど、急遽変更してお兄ちゃんと、コロネロちゃんと一緒に修行の旅に行く事にしたの。
だって、この前のお正月のトーナメントで、当たりが悪かったとはいえ、獄寺君にしか勝てなかったのはちょっと悲しかったもの。準々決勝くらいまで行きたかったのに!
ちょっと反省して、このバカンスの時期にトレーニングする事にしたんだ。”



「そういえば…京子ちゃんは、一回戦で獄寺君に当たって、そこでは勝ったんだっけ。
京子ちゃんも、了平さんやルッスーリアみたいな近接格闘系だからなぁ。懐にはいられちゃ、ね。獄寺君も当たりが悪かったよ。おまけに、いつのまにか…影で、怪力モンスター娘とか言われるようなパワータイプになっちゃったし。
で、2戦目は…確かベルか。うわっ、相性悪っ!…でも、大分いい勝負だったんだよな。」



“でもね、ここでみたテーブルマウンテンや、そこから流れ落ちる滝、エンジェル・フォールはとても素晴らしかったわ。”


「テーブル・マウンテン…たしか、頂上の平らな山だったな。エンジェル・フォールって言ったら、落差が世界一の滝だ!」


“特に、エンジェルフォールはすごかったな。
だって、滝の真下に行くとね、滝壺がないんだよ!水があまりにも高い所から落ちるから、落ちてくる途中で霧になって散っちゃうんだって。
滝の真下は大雨だったよ!コケばっかりで滑っちゃった!
テーブルマウンテン、エンジェルフォールの流れ落ちている山…アウヤンテプイって言うんだけど、とっても高いの。
しかも、ずっと霧がかかっていて、ぜんぜん上が見えなかったんだ。現地の言葉じゃ、“悪魔の山”って言うみたい。
霧って聞くと、なんだか髑髏ちゃんのお兄さんを思い出しちゃったな。

でもね、コロネロ君が言うには、ギアナ高地は、もともとが高地で岩盤であることと、とっても降水量が多い事から、栄養分が極端に少なくって、普通の植物は 育たないんだって。パイナップルは育たないなー、なんて思っちゃった。…こんなこと、ムクロさんや髑髏ちゃんに言ったら怒られちゃうね。デコピンされちゃ うかも!“


「うわぁお…。京子ちゃん、楽しそうだな…。」


“さっき書いた通り土に栄養がないから、食虫植物がいっぱい!
しかも、お兄ちゃんのセンスにはがっちり来たみたい。どのくらいなら持って帰っても大丈夫なのか、ずっと真面目に検討していたわ。本当はこういうのはいけないのよね、きっと…。だから、イタリアに戻ってから、お花屋さんで探してみようって事で一件落着したの。
ここまで、さらっと書いているけれど、すごく大変だったのよ!
でも、本当の事を言うと、私も持って帰りたかったな。だって、とっても面白い形をしているんだもの!お兄ちゃんと、休憩って言いながら、虫を捕まえて…消 化している所をずっと見ていたな。コロネロ君には「ヒマな奴らだぜコラ!」って言われちゃったけれど、しょうがないよね!だって、とっても可愛かったんだ もん!


「…さすが了平さんの妹というだけはあるな…京子ちゃん、趣味も結構似てるんだな…。兄弟ってすげー…。」


“ここはとっても素敵なところだけど、サバイバル生活ってなるとちょっと別かな。
結構大変。それに、お兄ちゃん達のトレーニングもとっても厳しいのよ。
まず、日の出と一緒に起きて、朝ご飯になりそうなものを採って、川から水を汲むのよ。
でもね、生水のままじゃ飲めないから一回沸騰させるんだけれど…これが結構面倒くさいの。スコールの雨水があれば、そのまま飲めるから便利なんだけれど…。
それからは、だいたいいつものトレーニングかな。いつもよりも、ちょっぴりハードな事をのぞけばね。
まず、アウヤンテプイの麓の当たりに行って、その後は崖登り。最初は、素手は痛いなぁって思ってたんだけど…でも、ツナ君は中学生の時にやったんでしょ?ハルちゃんから聞いたんだけど…。そう思ったらね、負けられないって思ったの。
その後はランニング…というよりも、緑の世界を分け入ってっるってかんじ。方位磁石がないと迷っちゃいそう!
実際、何回か迷子になっちゃったお兄ちゃんをコロネロ君と探しに行ったんだ。

でも、そんなトレーニングも今日で終わり。今はベネズエラの首都カラカスに向かう車の中。
カラカスは治安最悪って聞いたけれど、別に問題はないと思うわ。
ツナ君は心配性だから、こんな事書いたら、心配されちゃうかもしれないけれど…お兄ちゃんが一緒だし、そもそも荒っぽいのは慣れてるしね。それでも、観光するときは一応貴金属の類いは外しておこうかな?
戦闘用のリングを外すのなんて久しぶりだから、ちょっとドキドキ。

…とまぁ、報告書って言うよりもお手紙になっちゃったけど、大体わたし達の休日はこんなかんじ。
それにしても…行きは、ビザだけ取って地中海&大西洋を泳いだし、(コロネロ君がヨットで荷物と寝床係だったんだよ。)サバイバル中はロープを編んだハンモックだったから、ベッドに寝るのは久しぶりなんだ!
今日、この手紙を出したら久しぶりのあったかいお湯のシャワーを浴びて、白いシーツのベッドに眠るの!なんだかとっても幸せだなぁ。

それじゃぁ、ツナ君もお仕事頑張ってね!
お土産買って帰るから!

京子より♥




「……京子ちゃん…大西洋泳いで渡ったんだ…。しかも、イタリアから…。す、スゴイなぁ…。なんか、普段なら治安の悪い町に行くって聞いたらちょっとは心 配もするものだと思うけど…なんだか、京子ちゃんやお兄さんよりも、うっかりからんじゃったチンピラを心配しちゃうなぁ。」

「…さぁ、次の休暇は誰で、どこに行くのかな?」