ここは未来世界、骸のせいでぶっ壊れた研究所跡。
人っ子一人いないこの廃墟に、ふわりと白い光が満ちたあと。

そこには三人分の人影が現れる。


「ふぅ、無事に戻ってこられたみたいっスね、十代目…。」
「うん。たいした時間は経っていないのに、すごく疲れたよ。」
「これからどうしましょうか?」
「うん、とりあえず救急車を手配しようかな…。俺、正直全然動けないし。」
「ですね。それに、骸の処分のこともあります。ヴィンディチェにも連絡しましょう。」
「お願いするよ。それじゃ獄寺君は彼らの目につくような場所で待機をお願いするよ。」
「はい、あ、でも…。」
「骸のことなら心配要らないよ。」
「…。」
「ヤバイ事になったらちゃんと呼ぶし、それに、最終手段になったら死ぬ気で逃げるさ。」
「そうですか。わかりました。」


そう言って、獄寺は携帯を片手に研究所から少し離れたところにある道路の方へと走っていった。
綱吉はそれを視線で見送る。


「…良かったんですか。」
「まーね。他にどうしようもないし。…てかおまえ起きてたの。」
「一応さっきまでは気絶しましたよ。会話は聞こえていましたが。」
「そっか。とりあえずはおまえのケガの手当もするからな。つっても消毒くらいだと思うけど。」
「そしてその後は牢獄行きですか。」
「そ。わかりやすいでしょ?」
「…死にますね、僕。」
「そうだね、多分すぐに処刑なんじゃない?」
「死にたくは、ないです。」
「でもさ、おまえのやったことはスルーできないよ。」
「知ってます。でも、生きたい。」
「…ちょっと予想外。」
「どうしてですか?」
「捕まるくらいなら舌噛んで死んじゃうかと思った。」
「…少し前の僕ならば、迷わずそうしたと思います。」
「何か変わったの?」
「少し、だけ。」
「俺、今はちょっと暇なんだ。良かったらワケを聞かせてよ。」
「…やです。」
「あ、そ。」

「…。」

「…。」
「ねぇ、沢田綱吉。」
「なーに?」
「あなたは生きてて楽しいですか。」
「それなり、かな。楽しい時もいっぱいあるよ。そればっかりってワケでもないけどね。」
「どんな、時?」
「馬鹿騒ぎやってる時。おっきなケーキにかぶりついてるのも好きだなぁ。こっそり抜け出した日に、歩道で1ユーロコイン拾った時なんか…すっごい幸せだったなー…。他にはねぇ…」
「たくさんありますね。」
「そうかな?あ、でも羅列したらまだまだあるね。…そうだね、きっと数え切れないかも!」
「ちょっとうらやましい、です。」
「そう?」
「…僕はいままでそういう風に世界を見たことがなかった。向こうの六道骸に言われるまで気がつきませんでした。」
「…。」
「馬鹿な話ですよね。…だからこそ、もっと知りたいと思います。なのに、死期はもう間近。」
「そう、だね…。」
「僕は死にたくないです。」
「でも、さぁ…。」
「知ってますよ。分かってます。」
「うん、ごめんね…何か出来れば良かったんだけど。」
「…ならば。」
「?」
「ならば、僕を買う気はありませんかね?」
「…は?」
「簡単なことですよ、人身売買です。あなただって話には聞いたことがあるでしょう?」
「ええええええええっっ!買うの!?俺が!?おまえを!???」
「そうです。名前と身元のはっきりしている個人の持ち物には、ヴィンディチェも手が出せない。」
「や、でもさ、それって…」
「マフィアになってあげるつもりはないので、ただの居候ですけど。でも、個人的なボディーガードや暗殺、情報収集や脱走の手助けくらいならしてあげてもいいです。」
「えっと…その…。」
「あなたさっき自分で言いましたよね?何か出来ることがあればって。」
「それは確かに言ったけどさ…。」
「あなたも知っての通り、僕は優秀ですよ。幻術師、レアですよ。」
「…。」
「忠誠なんか誓ってあげませんけれど、六道骸の悪名を利用するくらいなら許してあげなくもないです。」
「えっと、その…でもさ、六道骸サマの値段、高そうだよね?」
「まぁね、高いですよ。」
「好奇心で聞くけど、お幾らですか…?ちなみに俺は今文無しですけど…。」
「くふふ、聞いて驚きなさい。…ガトーショコラ3ホールで手を打ちましょう!」
「…あはははは!」
「文句ありますか?」
「いやいや!確かに高い!…でも、買った!」
「交渉成立、ですね。話に聞いたとおりです。」
「え?」
「あちら側の六道骸に。泣き落とせば大体どうにかなる相手だ、と。」
「…あのさぁ、俺…あいつには勝てる気がしないんだけど。」
「……僕も、あぁはなりたくないです。」

当代ボンゴレが、強悪な影を引き連れたとか言うウワサ話がまことしやかにささやかれるようになるのは、もう少しばかり後の話になる。



おしまい


そしてスクロールでちょっとしたおまけがあるよ。

どこぞの未来の昼下がりのカフェにて。


「…っていう事があったんですよ!」
「知ってるよ。お前がここに居るってこと、もーちょっと考えてみような。」
「わかってます!どーせ、若い僕を君がひろって、光源氏よろしくいじり倒してたんでしょ!」
「やめてー!誤解を招くような発言はやめてぇーっ!!いじったのは認める!でもそれだって手当っていう立派な目的があるの!」
「…どーだか。」
「な、なんだよその目!」
「邪眼ですけど何か。」
「ちっがーう!そーいう意味じゃないってーの!どんだけ自分を過大評価してるんだよお前!」


「…まったく、超ウルトラ上機嫌の雲雀さんなんて悪寒の走るようなのを見なければ。うっかり後をつけてボロボロの骸を見つけたりしなければ、コイツに絡まれる事もなくサボリを謳歌できたってのに!」
「…あ。」
「何さ。」
「……あああ…。」
「…ホントに何?」
「…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!死ぬ!死んでやる!」
「な、何さいきなり!何があったの!?」
「止めないで下さい綱吉君!僕はこれから盛大に自殺するんですから!」
「なんだよそれ!理由言え!でないと死亡許可ださないから!」
「何ですか、僕には死ぬ自由さえないってんですか!」
「ないよ!」
「そんなぁ!」
「だから、気になるから理由話せって。」
「ヒドイです。ただの好奇心じゃないですか。」
「文句ある?教えてくれたらチョコレートパフェおごってあげようと思ったのに。」
「インフルエンザが治ったので出歩いていた所、鳥野郎に会いまして、勝ったら相手を一日奴隷に出来るという条件で真剣勝負したんです。」
「でも、入れ替わったから無効試合じゃないの?」
「でも、過去であれ"僕"はそこに居ました。その過去の僕は、戦える状態ではなかったんでしょう?」
「…そうか、雲雀さんが上機嫌だったのって!」
「…不戦敗しました。」
「…。」
「…。」
「…不可抗力だよ。」
「そう思いますか。」
「うん。」
「じゃぁ、僕を弁護して雲雀恭弥にそう言ってくれますか。」
「すいませーん、チョコレートパフェ2つおねがいしまーす。」
「…この、裏切り者!」
「裏切ってはいないって!だって俺聞いただけだもん!」
「死んでやる!カミソリで頸動脈切って死んでやる!ついでだから裏切り者の君も道連れです!」
「ちょっとまってって!てか、そもそもお前がインフルエンザにかからなければ今日出会う事もなかったんだろ?」
「…まぁ、そうですけど。」
「俺、言ったよね?"全員予防接種受けろ"って。」
「…………そんなのしらないです。」
「チョコレートパフェ没収な。俺が二つ食べる。」
「ヤです!そんな事したら太りますよ!…でも、僕が注射嫌いなの知っててそーゆー事言うのやめて下さい!」
「いいじゃない、多少太ったって。それに、インフルエンザの予防接種だって最近じゃどこに行っても当たり前でしょ。ちなみに、そう言うって事は逃げたの認めるの?」
「………ぼくがかかったのは予防接種してたのとは別の型ですよー。」
「この強情!」
「うるさいですよ、この不細工!折角過去で頑張って助けてあげたのに!
」 「知らないよ!俺にはそんな記憶ないもんね!」
「僕頑張ったのに!マジで死ぬかと思うくらい怖い思いしたのに!」
「しらないもーん。」
「…じゃぁ、こういうのはどうですか?」
「?」
「次脱走する時は僕が手引きします。だから全て帳消しに…」
「そんなウマイ話があるかっ!」
「じゃぁ、オプションで何かおごります。」
「…なんでもいいの?」
「なんでも!」
「………あのさーホンダの新しいモデル、わっかるー?」
「…バイクですよね。確か。」
「あ、わかるんだ?来月、ニューモデル解禁なんだよねー。」
「……………………プレゼントしましょう!そのかわり…」
「やった!骸ったら、太っ腹ぁ~!うん、ヒバリさんにも言ってみるぅ~。」
「…約束ですよ?」
「マフィアに二言はないもんね~。」
「おねがいしますよ、ホントに……。」



こうして今日も未来は平和なのでした。



ほんとにおしまい


なんとかおわった。もう終わらないんじゃないかと思った。

今回の物語は、バトルものが書いてみたい!とかいう思いつきから始まったのん。
それで、とりあえず短い物語を書こうとか思ったんだ。

すると、最大の壁は相手でした。
だって折角戦うんだから、ツナや骸とまともにやり合えるほど強い敵を用意しなくちゃいけない。
でも、どうにも作り込みすぎるフシがあってねぇ…。
ただ倒すために使うのももったいないし、どうせなら設定も活用した物語が欲しい…みたいな。。
だからなるほどリサイクル…十年後を用意してみたんだけど。
そうしたら案外強いし話がややこしくなってしまったとかいう笑い。

現代ツナと骸じゃ、十年後骸は過ぎた敵だったもんだから、
十年後獄寺とツナを引っ張ってきてあげたけど、やっぱり収集がつかなかった。
だから結局今の流れになったんだけどさ。
てゆーか、途中から頭の中がバトルなストーリーから、
骸フルボッコ計画に移行しそうになるのも辛かった。袋だたきしか思いつかなくなってしまった。袋叩き大好きだ。

しかもだ、短くなくなった。結構長いぞコレ。
きっと本だったら問題なく読めるだろうよ。でもこれネットだぞ。

そして、やっぱりクライマックス考えるのは嫌だ。シリアスなのは本当に苦手なんですって。
あっちがわの骸が高らかに喋ってる時なんか、何書いていいかわかんなかったし。
だ か ら じ か ん か か っ た ん だ よ !
もっと気楽なのが書きたいナ…。(書いてるけどさ!)




そして、文字直すのに読み返してみて、これ6927ぽいなと思った。
全くその気はなかったんだけど。
まぁ、キャストと流れ的にしょうがないのかな?
絡みとかないし、問題ないとは思うけれど…警告とかした方がいいんだろうか。
そんなつもりで書いてないのに警告を置くというのも、なんだか嫌だなぁ。

誰か、腐女子世界におけるガイドライン的なモノをつくってくれればいいのに。



ちなみに、本編最後の文章は私の趣味というか願望。
骸はツナのせいで髪を伸ばせばいいと思う。
6927万☆歳。(あれっ、さっきと言ってた事違くない?)

やけくそなんかじゃないですよ。ちょこっと妄想が爆発してるだけですよ。





それと。

後先考えずに中途半端に公開していたモノを読んで、「続きが読みたい」と言って下さったみなさん。
本当にありがとうございました。
そう言って下さったおかげで、途中で投げ出さなくて済みました。
本当にありがとうございます。何回言ってもお礼が足りないです。



それに、ここまで読んでくれた皆さんも、ありがとうございます。