午前中。学校の休み時間。

わたしは携帯を取り出す。
そして、アドレス帳から「三浦ハル」のメールアドレスを探して送信先に設定する。
慣れない手でメールを打つ。

“きょうのごご きのうのきっさてんに いこうと おもう。きてくれると うれしい。”

「(ふぅ…。)」



打ち終えて、ひとやすみ。
女の子のともだちにメールなんて、はじめてかもしれない。

短いメールを何回も、念入りによみかえして、送信。
どきどきする。メールを送るのってこんなに大変、だったっけ?





授業がはじまる。退屈な国語の授業。
ふわぁとあくびが出た瞬間、マナーモードに設定した携帯のバイブレーションが鳴る。
文字どおりに心臓が跳ね上がった。思わず周りをきょろきょろする。よかった、誰も気がついてない。
画面に目を落とすと、そこには「着信:三浦ハル」の文字。

どきどきしながらメールを開く。

“はい!わかりましたです!(≧∇≦)/
ハルの学校からだと、喫茶店につくのは多分4時くらいになると思うんですけど、大丈夫ですか?(?_?)”

“だいじょうぶだよ。”
そうやって返信しようとしたら。


「授業中は携帯は禁止だと言っただろう!」
「あ…。」
「授業が終わるまで没収だ!」
「…。」

授業の残りは、あと30分もある。なんだかとっても長かった。











今は喫茶店にいる。
ハルちゃんを待っているの。
4時まであとちょっと。目の前には昨日食べておいしかったチーズケーキ。

正直、なんだかちょっと不安。
これで本当によかったのかな、とか、やめるならまだまにあうよ、とか。いっぱい考える。
だんだん、このままお茶を濁してもいいような気がしてくる。

だめだめ。昨日、ちゃんと決めたんだから!




そんな事を考えていたら、喫茶店のとびらが開いた。入って来たのはハルちゃん。
ハルちゃんはすぐにわたしに気がついて、こちらに来る。

「クロームちゃん、遅くなってごめんなさいです!」
「ううん。そんなことないよ。ハルちゃんも何か、注文する?」
「はいです!ハルは…チョコレートケーキがいいなぁ、すいませーん!」

そして、注文し終わったハルちゃんが口を開く。

「ところでクロームちゃん、今日はいったい、どうしたんですか?」
「あのね、昨日のことなんだけど…。」
「あ…。」


ちょっとした沈黙。でも、きになんかしない。


「えっとね、全部話そうと思って。」
「…いいですよ。無理、しないでください。」
「無理じゃないよ。昨日あのあと、きちんと考えた結論だもの。わたしが決めたこと。あ、でも…ハルちゃんが望まないのなら…。」
「そんなことないです!ハルだって本当はとっても、とっても聞きたいです!でもきっと…クロームちゃんだけの問題じゃ、ないんでしょう?」
「…うん。一応は。でも、いいよ。何が起こっても、わたしは大丈夫。それにね、一番迷惑をかけそうな人にはきちんと了解をもらってきたから。」
「そう、なんですか?」
「うん。だから大丈夫。ハルちゃんは聞きたい?それとも…。」
「…ちょっと待ってくださいっっ。ちょっと深呼吸…すーはーすーはー…はい!もう心の準備はできましたですっ!教えて下さい!」
「あのね…。」



わたしは、知っている限りのことを話した。
ボスが本当にマフィアのボス候補(おそらく現時点では最有力)であること。
黒燿で起こった事件の概要。
真夜中の並中で起こったヴァリアーとの戦い。
そして…わたしたちの、現時点でほぼ確定しているであろう未来について。

ハルちゃんは、あまりしゃべるのが上手じゃないわたしの話を、一生懸命、丁寧に聞いてくれた。ときどき質問もされた。なるべく丁寧に、答えたつもり。
誰かに何かを説明するって、こんなに難しいことなのかと思った。



「……わたしのわかる範囲だと、だいたいはこんな感じ。」
「はひぃ…なんだか、にわかには信じがたいくらい壮大な話ですぅ…。」
「だよね。びっくりしちゃう。」
「イタリアってのも想像しづらいし、それに…でも…いつかツナさんが居なくなっちゃうってのも、信じられない、です。」
「…。」
「でも、納得はいきました。確かに、そのくらいデンジャラスな事がないと、あんなに大変な事にはならないですし、みなさんを守る為に立ち上がるツナさんも、ハルには想像つきます。きっと、ツナさんなら良いボスになれそうです。……そしてっ!」
「?」
「そして、そんなツナさんを支えて、力になるためにも!ハルもイタリアに渡らなければなりません!」
「でも、ボスは…。」
「クロームちゃんの言いたい事はよくわかっていますです!ツナさんは優しいからきっとハルの事は日本に置いて行こうとするハズです!で・も!」
「でも?」
「ふふん、簡単です。ハルの事を置いて行くのはもったいないくらいに、ハルが強く、賢く、美しくなればいいのです!それでもダメなら、勝手についていけばいいだけの話なのです!」
「…大丈夫?」
「正直、今からみなさんについていくのは大変だと思います…。でもでも、そこでめげるハルではないのです!それに…!」
「それに?」
「それに、どのみち野郎ばっかりじゃないですか!そりゃまぁ、ハルの知る限りじゃ美形率高めですけど…でもでも、トラブルメーカーばっかりじゃないですか!ツナさんも少しは静かに目を離せる人材が必要です!クロームちゃんだけじゃ足りないですよ!」
「…それはあるかも。」
「そりゃまぁ、顔じゃ勝ち目がないってのもありますけど…。でも、ハルは頑張るのです。少なくとも獄寺さんよりは強くなりたいのです。アホ女とは呼ばせません!」
「目標、なんだ。」
「はいですよ!ハルの恋に協力してくれたクロームちゃんの為にも、ハルは頑張るのです!負けないのです!」
「うん、がんばってね。でも、一つだけ訂正させてくれる?」
「はひ?」
「あのね、今日いろいろ教えたのは、ハルちゃんの恋を応援するためじゃないの。」
「えっ…じゃぁ、」
「これは宣戦布告なの。」
「はひぃ!?」
「あのね、わたしもボスが好きよ。」
「えっ…!!?」
「だから、ハルちゃんとはライバルだね。わたし、負けないから。」
「はっ……はひぃぃぃぃっっ…!!?そ、それは困ったです!……でもでも、ハルも負けられないのは同じなのです!むぅ…まさに、"昨日の友は今日の恋敵"なのですぅ。」
「…それって、"昨日の敵は今日の友"…じゃない?」
「ハルアレンジですよ!……ねぇ、クロームちゃん?」
「なぁに?」
「…ツナさんが居なければ、ハル達はお友達…ですよね?」
「うん。」
「…ですよね。抜けがけは、ナシですよ?」
「…ハルちゃんもね?」



そう言って、わたし達は一緒に笑った。
お友達って素敵だなって思ったよ。

ハルちゃん、明日から朝にランニングするって言ってた。わたしもやるって言った。
そしたら、どうせなら一緒にやろうって。
朝は苦手だから、ちゃんと起きられるかちょっと心配だけど…頑張る。
だって、ハルちゃんだけトレーニングなんて、ハルちゃんだけ強くなるなんて、許さないんだから!



おしまい


リボーン初のドタバタなしシリアス、ようやっと完結。らんらんるー☆
骸とツナがしゃべらないだけでこんなに静か。
そして、シリアスはやっぱすっげー疲れるや。

思えば、初めて書いたCP小説かもしれない。多分そうだ。
CPものを書くなら、きっと一番はじめはなんだろうか…まぁ、BLは確定かと思ってたら予想外にNLだった。
しかし、CPものって本当に大変だなぁ。
キャラの独り語りって、なかなか話が回らない。
読んでくれた人、いろいろツッコミ所はあると思うんだが、ぬるい目で流してくれるとうれしい。
世の書き手さん達、マジですげぇや。もっと勉強しよう。そして萌えよう。


この話はもともと、ツナ視点、クローム視点、ハル視点、京子視点がからまりながら進行するハズだった。当初の予定ではね。
しかし、書いてみたらば案外読みにくかったから、ツナ&クロームオンリーにしてしまった。
おかげで中途半端に余計な会話とかが多くなった。
今回京子ちゃんが途中から空気なのはそのせい。京子パート削ったから。

あと、京子ちゃんボンゴレ参入だけ別に話を作る気持ちになったしね。
だってヒロイン。どうせならハデに。
お兄ちゃんだけじゃない、皆出したい。
だって、人数多い方が書いてて楽しいw(ネタと展開、場面の回転は超大変だけど。)
まぁ、私が書いたら京子→ツナは確定だけどな!
だって私、ツナ受け大好き!女にも男にも愛されろ!ふはははは!

本命6927だが、9627も本気でイイと思ってる。
はさまれてろ!愛されろ!両手に花だ!いぇ〜い☆ぱいなぽー万歳っ!



ちなみに、この話を書いたキッカケは、ハルとクロームのコンビは絶対にカワイイと思ったから、絡み話を。
…ってのと、ハルは自力でボンゴレに来る…くらいなら、当たり前の如くやると思う。
京子ちゃんもそのくらいならやりそう。だって了平さんの妹w